ヨーロッパ2008

f0189142_1225311.jpg


f0189142_12251537.jpg


f0189142_12253055.jpg


f0189142_1225578.jpg


ほんの少し秋の気配を感じ始めると、なぜだかパリに行きたくなってしまいます。




これは、大分以前に読んだ戸塚真弓さんの本からの、記憶に残るワインのお話です。
(少し長くなりますが、その一部を抜粋させていただきますね。)

ホテル・リッツのシェフ・ソムリエ、ジョルジュ・ルプレ氏が、ある雑誌のインタビューに答えた記事を、戸塚さんが偶然目にした所から始まります。

この記事の中で彼は、最も感動したぶどう酒として、1937年のロマネ・コンティのことを語っていました。
「それは、今から十年も前に飲んだものですが、つい、昨夜、栓をあけたかのように覚えています。すばらしく高貴な味でした。たくましさとしなやかさを同時に備え、ブルゴーニュ生まれにふさわしい力強さを持っていました。その香りといったら、信じられないほどで、新鮮なトリュフの香りがし、まるで、絶頂期のぶどう酒が、地上にそして産地に戻ったかのようでした。」

この後で彼は、最もがっかりしたこととして、ある日本人夫婦について述べています。

彼らは、ある年の一月一日の夜の客でした。主菜である仔羊の肉にボルドーのシャトー・ラツールの1945年を、自分たちで選びます。45年といえば、伝説的な当たり年。
この豪華なぶどう酒をさがしに、酒蔵におりることを、ルプレ氏は光栄に思い、すばらしく嬉しかったそうです。利き酒をすすめる前に、細心の注意を払って、慎重にデカンタシオンをしました。
ところが、注文した人の顔には、ルプレ氏と同じような微笑も、感動も、熱いまなざしも、何も浮かばない。まるで、甘口の白ぶどう酒イケムの入ってるグラスに、まちがってラツールの赤ぶどう酒を注ぐのを見るかのように、彼らは、まったくの沈黙の中に打ち沈み、感動に満ちた様子を見せるのは、みっともないとでも思っているようだったと。。。

ルプレ氏を知る戸塚さんは、後日直接ルプレ氏に会って、ロマネ・コンティ1937年を飲んだ時の事や、ワインと料理の相性、そしてもちろん、この気になる日本人夫婦の件をさらに詳しく訊ねています。

ルプレ氏は、いまだに彼らのことが気にかかるといいます。あのぶどう酒を、心からおいしいと思って賞味してもらえたのかどうか....。なにしろ、彼らの顔は能面のように動かなかったらしいのです。

戸>「栓を抜いたばかりの時の利き酒は、どんな印象でしたか?」
ル>「もう心が浮きたつような、途方もない夢のようなぶどう酒だと思いました。」

彼らは、リストを丹念に眺め、彼ら自身でラツール45年を注文した訳で、ぶどう酒について何も知らないというような人たちではあるまい。。。
ひょっとして、ラツール45年は、彼らの期待した好みの味ではなかったのかもしれない。
しかし一本が一万フラン(25万円位)もするぶどう酒を、今さら気にいらないというのも気が重い。さりとて、残すのはもったいない。ともあれ、飲みほそうということになったのだろうか。それとも、あまり飲まなかったのだろうか。

戸>「彼らは一本ぜんぶを飲んだのですか?」
ル>「ええ、ほとんど。でも、グラスに一杯ぐらい残っていました。」

戸>「もしかしたら、それはソムリエの方のために、わざと残しておいたのではないでしょうか。とびきりのぶどう酒を飲んだ時は、ソムリエの勉強のために、そうするのが礼儀だと、どこかで聞いたことがありますが?」
ル>「そういう話は初耳ですが、ありがたいことでした。とにかく、彼らが食事を始めてから、私は二度ぐらい彼らのテーブルに行ってみましたし、席を立つ時も行ってみましたが、反応は何も見られませんでした。私には、彼らがあのぶどう酒を堪能したのかどうか理解できなくて、ショックでした。ですから、もちろん、栓を抜いてから二時間ぐらいたっている残りのぶどう酒を、すぐに利き酒してみました。一回目の利き酒の時より、味ははるかに上昇していて、おいしさは完璧なものでした。」

そして、ルプレ氏は、ラテン民族であるフランス人と日本人の違いについても理解を示したうえで、「フランス語がまったくできなくても、顔で精一杯に表現する好もしい感じの日本人はたくさんいます。ラツール45年を飲んだ日本人のような人は、きっと珍しいのでしょう。」と語り、「ぶどう酒に関していえば、利き酒のテクニックやぶどう酒のことをあれこれ知らなくても、味わい方を知っているのが何よりも大切なことだと思います。」と結んでいました。

この話は、今から20年位昔の話だと思います。
その後の日本でのワインの流通と文化の成熟ぶりは周知のとおり、今ではそのへんの「お蕎麦屋」さんにだって、ワインリストがありますからね〜。

ボルドー5大シャトーのうちでも、ラフィット・ロートシルトがひと際高値を続けてるのは、中国が買い占めてきてるからだそうです。ラフィットのスペルを中国語に変換すると縁起の良い漢字になるそうな!?
これからは、中国、ロシアが高いワインでもどんどこ消費してゆくのでしょうかね〜〜。

ワイン今昔物語でした。
[PR]
by jackie-style | 2009-08-25 15:12 | 海外 | Trackback | Comments(7)
トラックバックURL : http://jkocamelot.exblog.jp/tb/11802040
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by mrs-hkg at 2009-08-26 14:26
なかなか面白いお話しですねー。
状況が良く読めないので、あくまでも想像ですが、
思いっきり緊張していた、離婚する前の最後の食事だった、
何か哀しい事があった、なんてゴシップ的な想像ばかり(笑)。
こんな風に一緒に喜んでくれる方、たまにお見掛けします。
SFやハワイや香港のレストランでも、すごく高くなくても、
美味しいワインを頼むと、良さを嬉しそうに説明してくれたり。
こちらがよりそそられる用な、上手なおもてなしですよねー。
でも、今時のパリや日本の有名店で働く方なんて、
超リッチなゲスト@日々高級ワイン開けまくりで、
しかもゲストも特に感激も有難味もなく悪循環なのか、
ただのマシーン化してる方が居たり。

中国人、好きですよねー。
香港のお店でもロートシルトよく見掛けますが、
今の所値段的にはアメリカより少し高めと悪くないですよ。
はっ、もしや昔からある中身詰め替えインチキかしら??

香港でも、超リッチなキッズが某フレンチ店なんかで、
大声で酔っ払い、リストで一番高い物!と注文してたりで、
かしこまりましたと返事しつつ、ソムリエさんの笑顔@ピキっ。内心、良さが分らないくせに、なんて悪態ついていそう(笑)。
Commented by jackie-style at 2009-08-27 00:25
☆ごくちま様

私も同じ事想像してましたよー(笑)
1.たぶんガチガチに緊張しちゃってた! でもそれを見透かされるのは嫌だから、高いワインを選んだ。
2.緊張しすぎて値段を間違えてオーダーしてしまい、途中で気付いたがオーダーし直す事もできず、ショックのあまり無表情になった。
3.直前に大喧嘩して、口も利きたくなかった! が、しかし美味しいワインだけは飲みたかった。
.......なんてね(爆)

うん、そうそう、ソムリエやウェイターの方によって、こちらの気分も盛り上がり、何倍にも食事やワインが美味しく楽しく感じられる事って確かにありますよね〜。
家の場合、最近だと「ベージュ アラン・デュカス 東京」がそうだったな〜。

やっぱり香港でもロートシルト多いんですね!(納得)
えっ、高級ワインの中身詰め替え??あ、ありえるかしら(^^;)
でもごくちま様なら、すぐ違いに気付いちゃうし、大丈夫でございますわよ(^^)v

香港のとんでもないお金持ちファミリー、想像つきます。(苦笑)
奥様の中には、反り返っちゃって、後ろにひっくり返りそうなくらい、偉そう、、、あ、いや、堂々となさってる方もいらっしゃるのでは。
Commented by mint2 at 2009-08-27 15:09 x
jackieさま~♡
トップのムール貝の画像だけで、ワイン一杯いけまーす(^^)
それにしてもうっとりのオペラ座の天上画。
色彩の妙と天使がいきかう幻想的な描写はシャガールならでは!と
いうことでしょうか。賛否両論あるようですが、これも古典に経年とともに
変遷されるのでしょうね~(^^)

ワインのお話、ものすごくおもしろいですー。(^^)
私はさっぱりワインのことはわからないのですが、きっとそのむっつり
ご夫妻、緊張されていたのか、それともお別れ前なのか・・・
ごくちまさまの妄想モードに私も賛成でーす。
私のような無知さらけだしの者は、予算と好みだけをソムリエさんに
お伝えしてお任せすればそれだけでいいですよね???
教えてくださいませ~。(こういうところ行ったことないのでドキドキ☆)

続きを楽しみにしておりまーす♪
Commented by jackie-style at 2009-08-27 16:41
☆mint様

ムール貝とキンキンに冷えた白ワイン飲みたくなっちゃいますよね〜♪
写真は、パリのあちこちにあるチェーン店「レオン・ド・ブリュッセル」です。
安くて量もたっぷり、いつも観光客で一杯のお店ですね。
今回の写真は、パリのエトランジェ視点ということで選んでみましたよん。

ワイン、私もよくわからないので、いつもソムリエの方と相談しながら決めてます。予算の範囲が狭いので即決まりますけどね。(アハ)
主人はほとんど飲めない人なので、だいたい私が選んじゃうんですよー。
たまに、何も言ってないのに初めっから私にワインリスト渡される時があったりして(^^;)

mint様のようにもっと知的な話題をと思いつつ、いつも食べものブログになっちゃってますわ。(苦笑)
あっ、「ソロモンの指環」私も読んでましたっけ。名著ですよね!
Commented at 2009-08-28 12:50
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-08-28 12:51
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by jackie-style at 2009-08-28 19:44
☆鍵コメ様

嬉しすぎて、言葉が見つかりません。。。(胸がじ〜んです!)
ブログ続けてた甲斐がありました。

グリコのマークのお兄さんみたいに万歳して走り回るか、槍持ってピョンピョンジャンプしながら踊るマサイ族みたいな気分でございますぅぅうう♪♡♪♡♪♡
<< FSホテル@丸の内・ekki ホテルリッジ&ポンテベッキオ >>